乳歯列期に矯正治療を開始することは一般的ではありませんが、そのまま放っておくと将来的に骨格的な「ズレ」や「ゆがみ」を引き起こすような咬み合わせに関しては、乳歯列期から治療を開始する必要があります。具体的には反対咬合、いわゆる受け口の治療や交叉咬合と呼ばれるかみ合わせの場合は、なるべくはやく対応する方が望ましいことが多いです。ズレている噛み合わせが習慣化してしまうと、歯並びを治しても再度習癖により後戻りの可能性が高くなります。
乳歯列反対咬合(受け口)の治療


骨格的な問題(上顎の劣成長)がある場合は、フェイスマスク(上顎骨前方牽引装置)を使用し、反対咬合を改善します。骨格的な問題がある場合はムーシールドなどの装置では改善できないこともあります。
乳歯列交叉咬合(奥歯の左右のズレ)の治療


交叉咬合は上下顎の歯列の不調和が原因で起こります。上顎の狭窄を認める場合は拡大装置を使用し歯列の拡大を行うことで、交叉咬合が改善できます。 乳歯列であれば、治療期間は数ヶ月〜半年で改善することが可能ですが、このまま大人になってしまうと手術をしないと改善できなくなることもあります。
いつから治療するべきなの?
治療開始時期は、早くても本人の協力性が得られる3 歳半ぐらいからになります。乳歯だから永久歯に生え変わったら治るんじゃ・・・もちろんそういった場合もあるかと思います。しかし、習癖の問題であれば習癖の改善を、骨格的な問題であれば骨格的な改善が必要となり、それぞれ装置も異なります。検査・診断を行いしっかりと説明があること、今後の展望の説明があること、とりあえずムーシールドといった一辺倒な治療方法でないこと、はとても重要なポイントです。